ひよこ豆のカレー

昨年、まだ前の会社で働いていたときに、
ランチのときに同僚のインド人男性が、
「これうちの母が作ったんだ、ちょっと食べてみて!」と言って
お弁当のおかず(カレー)を少し味見させてくれたことがあった。
(当時は大体毎日お弁当持参だった。)
それは、ひよこ豆のカレーだったんだけど、
私がそれまで食べたことのあるひよこ豆のカレーと違って、
見た目が無着色というか、ベースのグレービーが、
豆の色とほとんど変わらないベージュ色なのであった。
その味わいがまた、これまでのひよこ豆のカレーと打って変わって、
まず、やわらかくも香り高い、生姜の風味、
そして全体を包み込むコリアンダーパウダーの香味、
そして旨みのアクセントとなるニンニクのいい香りが
形がなくなるまで丁寧に炒められた玉ねぎのベースに
全てしっかりと溶け込んで、まさにやさしいおふくろの味であった。
辛くないカレー。
まろやかな旨みの中で燦然と輝く、生姜の香り。
赤くないところを見ると、赤唐辛子パウダーを入れてないか、
ごく少量加える程度なのかもしれない。
グリーンチリも見当たらない。
分けてくれた本人が調理に無縁の人だったので、
残念ながら作り方などを聞くことはできなかったんだけども、
通常のひよこ豆のカレーだったらトマトを加えるけど、
トマトも入れていないようだった。だから生成り色なのだ。


…今日、晩御飯を作るとき、戻しておいたひよこ豆を見ながら、
そのときのことをふと思い出し、
レシピが不明だけど、食べたときのことを思い出しながら
作ってみようかなと思い立った。


そして、できあがり。

味は、あのときのマイルドさをまた蘇らせる、甘みのあるベース。
こんな味だったかも。
でも、きっと、もっと隠し味、スパイスの隠し使いがあったに違いない。
その同僚氏はもともとパンジャブ地方出身の家の人だったので、
料理もきっとパンジャブ風だと思われる。
いつかパンジャブ出身の人がいたら、この料理のことを
聞いてみたいと思う。