初日の出

会社の同僚5人と一緒に、元旦の早朝、バイクに乗せてもらって
バンガロール市内から約70km北に位置する、
ナンディ・ヒル(Nandi Hills)という小高い丘に初日の出を見に行ってきた。

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が、朝4時半に会社近くに集合ということだったが、私が目覚ましの設定を誤り、
起きたのが4時半で、40分くらい遅刻してしまい、
おまけにメンバーが途中で道を間違えてしまったため、
ヒルを目前にみんなで暢気に椰子の実のジュースを飲みながら一服している間に
ついに日が昇ってしまった。

新年早々やらかしてしまったが、めげずに旅続行。



目的地近くになると、道路脇の窪地の集落に霧が溜まっているのが見え、
さらに進むと道路も霧が濃くなってきた。
気温は、バンガロール市内は17度くらいだったと思うけど、
市街地を抜け、閑散としたエリアに入ると若干寒さが増し、
その後、明るくなるにつれ徐々に気温が上がるのが感じられた。
太陽光の赤外線が身体を温めているのを直接的に感じて
プリミティブな喜びを感じる。


ナンディ・ヒルには、18世紀後半にマイソール王国を支配していた
ティープー・スルタンというイスラム系の国王が造った城砦跡が今でも残っていて
塀で囲まれたその城砦口までバイクで行って、そこでチケットを買って中に入った。

小道を辿って頂上に出ると、久々に見る真っ青な空。
留学していたワルダーではこんな青空をよく眺めていた気がするけど
バンガロールでは晴れていても、上空にうっすらと雲がかかっているときが多い。



緩やかな傾斜を登って行き、崖っぷちのようなところから見下ろした下界は
霧で覆われていた。
ナンディ・ヒル周辺には、他にも小ぶりな丘があるらしく、
そのてっぺんだけが
霧の中から帽子のように突き出ていた。
別の崖っぷちは、もっと切り立ったところがあり、
ティープー・スルタン時代には、謀反者を捕らえて
そこから突き落とすという刑罰に使われていたとか。


ハイキングコースのような小道に沿って歩くと、
この丘の名前にも冠された「ナンディ」という牛の神様の大きな像があった。

さらにルートに従って緩やかな道を歩くと、城壁のすぐ内側に
貯水槽のような、沐浴場のようなのがあって、
城砦の一部として当時は役に立っていたのかもしれないけど、
説明書きが一切ないため、我々一同どういう目的で建造されたのかわからず、
腑に落ちないような感じで次に移動。

日が昇るにつれ、徐々に気温が上昇してきたので、
みんな上着を一枚ずつ脱ぎながら歩いた。
10時頃になり、屋根がついた休憩所みたいな場所を見つけ、
各自持ち寄った食料で軽く朝食を取ることに。
ただし、私は朝猛烈に急いでいたため、うっかり手ぶらで来てしまった。
優しいメンバーたちに少しずつわけてもらっての朝食となった。
自分を客観的に見て落胆しつつもムシャムシャと食べていると、
我々を取り巻くようにして野生の小柄なサルが次々とやって来た。
食べ物を取ろうとするサルと戦いながらの食事は
あまり落ち着きません。





その後、また更に歩いていると、
尾が30センチもあるような白い小鳥を皆で見た。
幻のようにひらひらと飛んでは姿を消し、
また見えたかと思うとひらひらと飛んで
梢を渡りながら鬱蒼とした茂みの奥へと消えて行った。
写真を撮ろうとして、しばらく道のないような林の中を
皆で追いかけたけど、迷子になりそうになり
諦めて引き返した。



最後に、赤レンガ造りの当時のゲストハウスのようなのを見ると
城砦内をぐるっと1周回ったらしく、最初のゲート付近に戻っていた。


ナンディ・ヒルを後にして、次は麓にある古いヒンドゥー寺院に入った。
私が過去にインド国内を旅行した際に見た古い寺院のいくつかは
すでに誰も参拝していない、遺跡として残っているだけのものもあったけど、
ここは今でも参拝客が絶えない、現役の寺院だった。
お香の香りが強すぎず弱すぎず、いい塩梅に何処からともなく漂って
寺院内を充たしていた。
それは清浄さと神の祝福で充たされているようでもあった。


その後、昼過ぎて、一路市内に戻る旅に。
途中で遅めのランチを皆で取り、
元旦だけど、日本のようにハイウェイでも交通渋滞もなく
程なくして無事帰宅。
そんなおっとりのんびりとした1日だったけど、
うちに帰ってニュースを見たら、
その日、アッサムという地方でテロがあり、3人が犠牲になったと報じていた。
こういうことが無くなりますようにと願う正月を
あと何度迎えればいいのだろう…。
それは果てしないとわかっているけど、やっぱり強く心に思う=祈る。