インドで髪を切る

普段、インド人女性を見ていて、
あ〜あの髪型なら良いかも、と思ったことが
私の記憶する限り一度もないので、
インドの美容室には行かないことにしていて
たまに帰国した際に切っていた。
長く東京都内に住んでいたので、
インドから帰国した際も、当時行きつけていた美容室で
カットしてもらっていたんだけども、
前回の帰国時は東京に寄らず、
最寄の福岡国際空港から入国したため、
地元山口でちょっと良さそうな美容室に飛び込みで入った。
すると、カットするのがひどく遅くて
30分弱で終わりそうなのを1時間半もチョキチョキやっていて
大変疲れ、しかも残念なことに私の希望が全然通じてなかったので、
同じ日本なのに東京と山口でこんなに技術の差が
あるのかと驚いたし残念だった。
私が行った店がたまたま悪かったのかもしれないけど、
インドと山口では髪を切らないことにした。


と思っていたのに、
年末になり髪が切りたくなったので、
山口で切ってもインドで切っても同じだと思い、
バンガロールのとある美容室に行った。
雑誌を見て「これにして欲しい」と言えば一番わかりよいかと思い、
雑誌を見せて欲しいと言うと、
先にお客様の髪の状態を見てから
こちらでお客様に合う髪型を提案致しますと
私を担当した女性の美容師が言うので
なるほどと思って納得し、
美容師がこういうのはどうですか?と
サイドが後ろに向かってだんだん長くなっているような
ヘアスタイルの写真を見せるので、
あぁ、サイドはそんな感じにして、
後ろの長さは10センチくらい短くしてくださいと頼んだ。


そして30分後、
ドライヤーで乾かされて仕上げられた髪は、
私のイメージと全然違っていてため
軽いショックと後悔の気持ちが胸に押し寄せて来た。
少なくとも、美容師が見せてくれた写真では
サイドおよび後ろの毛先は
こんなに力強く外に向かってはねてなかったが。
その力強く外に向かってはねるようにブローされた毛先は
パツリと切られた後、すいていないために
「毛束」となって力強く外にはねていた。
その毛束が無造作にたくさん外に向かってはねていた。
その毛束を見ると
小学校の頃、寝グセが思いっきりついて
髪が外向きにはねている子がクラスに必ずいたのを想起させて、
なんかあるようなないような古傷が痛むような気持ちになった。
ちょっと憂鬱だった。
500ルピー(約930円。12月31日現在)だった。


「…だからインドで切るのイヤだったんだよ…」という怒りも
行き場がないというやつであった。
ま、髪なんてまた伸びるものだから。