外国人と公証人とゴーヤ

昨日やっと外国人登録に行ってきた。
外国人登録というのは、
インドでは、外国人が180日以上滞在する場合には
その市に届出を出さなければいけないというルールです。
180日以上有効な“ビジネス”ビザで滞在していて
180日を越えないでインドを出入国するという場合は
登録不要らしい。例えば出張でインドに滞在してるようなイメージ。
私が去年取った留学ビザとか、今回の就労ビザは1年間有効で、
入国してから14日以内に登録に出向かないと罰金30ドル。


で、その登録には、留学生ならその学校の、就労なら勤め先の
推薦状みたいなのが必要なんだけども、
私は今回10月末に入国してからいろいろあって
予定よりも2週間入社が遅れたので、
外国人登録も結局14日以内にできず、ペナルティーになった。
当然ですが、入社してない人に会社は推薦状を書いてくれないからです。
(うちの会社は払った罰金は後で返してくれるらしいですが。)


その外国人登録をする場所はバンガロールの中心地にある
Police Commissioner Office(略してPCO。訳せば「警視総監オフィス」
といった感じ?)という場所にあった。
先週明けに入社し、外国人登録の提出書類の作成を人事に頼んで、
それが金曜に出来上がったので、
昨日さっそく数々の必要書類を揃えて手続きに行ってきた。


まずその前に、市内中央に位置するMayo Hallという建物に行って、
そこにわんさかいるらしい公証人に、提出証書の1つにサインを
もらわなければならなかった。
情報通り、その建物前に公証人らしきおっさんが暇そうにたくさんたむろっていた。
私を見かけるとすぐに1人のおっさんが声を掛けてきたので
サインが欲しい、と値段交渉すると、350ルピーだ、と言う。
情報では50〜100ルピーのはず、かなり吹っかけている。
インドではこのように公の文書にサインをさせるにしても
そもそも手数料が定められていないので、
無駄に値段交渉をしなけばならない。面倒臭い。
何も知らない人なら350ルピー払うのだろう。
しかし、せっかく勉強して公証人の資格を取っても、
このように相場が500円の手数料を3500円だと言ってるような呆れた手口で、
外国人から金を巻き上げなければならないというのは
ちょっと哀れだと思う。
そのおっさんを振り切ろうとしたら、そのおっさんは
私を別のおっさんにパスした。
その別のおっさんはまた今度は「200ルピーだ」と言うので
また振り切ろうとすると、見せた書類をしっかりと握って離さず、
「オッケーオッケーいくらなら払う?」とすんなり折れたので
50ルピーしか出さないと言うと、わかったよみたいな感じで
まぁまぁそんなかっかすんなって、とか何とか言って
つんつんしている私をなだめた。
そしておっさんは書類を持って建物の中に入り、
しばらくしてスタンプとサインをした書類を持って戻ってきた。


続いて向かったPCOの中にある外国人登録の事務所は
なんとなく変な構造だった。
中央の入り口を入ると前方に窓口が4つあり、そのうち1つは
職員が座っていなかった。
その手前側のスペースに待合のベンチが並んでるのだけど、
それがなぜか窓口と反対方向、
つまり出入り口側を向いて座るように置いてあった。
…なぜ?もたもた仕事をしてるのを見られるのが嫌だからか。
プライバシーの保護?そんなものインドには…。
そして、さらに窓口の後ろには4つのデスクが横並びになったのが
5列続いていた。
席は中年以上の男性職員ばかりで6割くらい埋まっていて、
皆何か作業をしていた。
そして、何かさっきから変だと思っていたら、
外国人登録者数がインド国内でもトップクラスのはずなのに、
オフィスにパソコンが1台も無かった。
あるのはただ、角の揃わぬままホッチキスで綴じられ
各デスクに山積みされた書類の束の山だった。
なぜか『未来世紀ブラジル』という映画が頭に浮かんだ。
こんなシーンがあったんだっけ?あったような、ないような、と
ぼんやり記憶の中を手探りした。
事務所内の誰もいないらしい小部屋で電話の呼び鈴が
鳴り響いていた。でも誰も出ようとしない。そして電話は切れた。


そのオフィスで提出書類が全て揃っているか見てもらったり、
受領のスタンプを押してもらったり、
必要枚数を向かいのコピー屋でコピってもらったり、
ペナルティーの30ドルを銀行に行って払って来たり、
ベンチに座って呼ばれるのを待ったりして
ようやく手続きが終わったら15時くらいだった。
ウソ、5時間近くかかっている…どおりで疲れたと思った。
しかもお昼食べてない!
近くで軽く食べて、オートリクシャに乗って会社に出た。


…という感じで昨日は終わり、
本日火曜は16時に出来上がった証明書の受領に行ってきた。
何のアクシデントもなく手続きが済んだことが
妙に嬉しい。受け取りはスムーズだった。


帰りに、市の中心部にあるブリゲード・ロードというところに行き、
輸入食材なんかを置いている店でキッコーマンのお醤油を買った。
ただしシンガポール製だった。
値段は600ML入りボトルで155ルピー、約430円、た、高い。
でも買った。
それから卵とゴーヤも買って帰り、
晩御飯はゴーヤチャンプルーを作った。
そのためにお醤油をわざわざ調達したんであった。
お肉は私の前に住んでいた日本人女性が冷凍庫に置いて行った
ウィンナーをカットして投入、
また豆腐が手に入らなかったので、
インドでメジャーな、大豆タンパクの小粒ミートボールの
ようなので代用。
なんとなくゴーヤチャンプルーらしいものになって喜んだ。
じつは今日のランチでも、
付け合せでゴーヤを使った香味炒めを食べたのだけど、
すごく美味しくて感激した。ゴーヤとポテトの香味炒めだった。
ちなみに今日買ったゴーヤは中くらいサイズで1本約10円。