バンガロールのシタールの先生

引っ越しをきっかけに、前からやろうと思っていた
シタールをまた習い始めました。


先生は、友達のタブラ奏者の紹介。
今度は前のヴァラナシの老師とは打って変わって
30代前半くらいの男性で、未確認だけど普通の会社員のようだ。
若い奥さんと1歳半になるとびきりキュートな息子さんと
バンガロール市内に住んでいる。
実家はカルナータカ州(州都がバンガロール)の田舎らしい。
もの穏やかというか、もの静かというか、真面目な感じで
まだ若いのに落ち着いた雰囲気の人だ。
教室は先生宅。そこに週1度、オートで15分かけて通っている。
レッスンは1回1時間。


インド古典楽器全般に当てはまることかもしれないが
シタールというのは楽譜が無いもので、
耳で音を覚えるのが本来の伝承法らしいんだけど、
私はどうも音を覚えるのが苦手らしく、
同じ箇所をいつもすこーんと忘れてしまう。
言い訳っぽいが、インドの古典音楽の音階や旋律の流れは
日本とか西洋のそれと異なっていて、そのせいか
音から音への流れが私なんかには検討がつきにくい。
そこがまた面白く、美しく感じられるところでもあるのだけども。


で、結局、先生が「仕方ない」といった感じで
私が予め用意してきたノートに楽譜を書いてくれることに。
私が書くより自分で書いたほうが早いからだろう…。
ヴァラナシの老師のときは、老師が「ん゛〜〜次は…、
ニ・レ・ガ・マぁ〜〜♪…(インドの音階は“サレガマパダニサ”)」
と口で言うのを、私がノートに「ニ・レ・ガ・マ…」と書いて、
を繰り返していたので、一通り書き終えるのに時間を要したが、
さすがに先生が書くと時間の節約になり、
1時間のレッスンがある意味、有意義に過ごせる。
普通はみんな耳で覚えて家で練習できるんだろうか。
ちょっと自分が情けない。


情けないといえば、この先生はチューニングのときに
チューナーという、音の周波数と同調することで
チューニングポイントを教えてくれる便利な電子機器を使うんである。
チューナーを使うシターリストを私は初めてみた。
楽器をやってればチューニングなんか
そのうちできるようになるものだと思っていたんだが。
しかし、あーでもない、こーでもない、ここはもうちょっと
微調整して…、とやってるよりも、チューナーを使うと
チューニングが驚くほど早く済む。これはどうしたことか。
チューニングが苦手な私はちょっと欲しくなった。
しかし、バリデーションとかどうしてるんだろう?
そのうち狂ってこないのかな。


先生のお子さんの愛くるしさは特筆に値するほどだ。
インド人の赤ちゃんは非常にかわいい子が多いんだけど
私のリサーチではその子はそんじょそこらの赤ちゃんと一線を画している。
その子が愛嬌たっぷりに、私が先生に説明を受けているときなどに
満面の笑みで私の顔を覗きこんで「Hi…!」と何度も挨拶に来たり、
私のシタールを触ってチェックしにきたり、
挙句、ママと一緒に退散する際に、私に投げキスして退場したりする。
終始「もの覚えが悪くてすいません」感を感じながら
1時間のレッスンを過ごすのは、ある意味ストレスだが、
この子を見ると心にふわりと花が咲く。


というわけで、教え甲斐のない生徒ですが、
地道に頑張ります…。