コンタクトレンズ

日本にいたときはコンタクトメインというか、
じつはインドに来る1年前まではメガネを持っていなかった。
しかしインドは何しろ乾燥して埃っぽいので、
コンタクトは角膜の寿命を脅かすに違いないと思い、メガネを買った。
それでインドではほとんどメガネで過ごし、
たまに180度の視界を楽しみたい時なんかに使い捨てのコンタクトを使っていた。


しかしその使い捨ても底を突き、そろそろまた買いたいなと思っていたら
近所にわりと垢抜けのするこぎれいなメガネ屋があったので、吸い込まれるように中に入った。
テーブルになっているショーケースの中には
世界的なブランドのメガネフレームなんかがずらりと並んでいて
メガネとメガネの間に丁寧に色とりどりの玉虫色のようなビー玉みたいなのが配置してあった。


例に漏れず、そのメガネ屋もおっさんが3人で寄り固まって切り盛りしていた。
インドはどこに行ってもおっさん率が高い。
おっさんに使い捨てのコンタクトレンズが欲しいんだけど、と相談すると
私のメガネで度数を測ってくれた。
それで、2週間のトライアルを勧めてくれた。300ルピーらしい。
トライアルを使った後、もし1箱から買うんだったら、
その値段から300ルピー引いてくれると言うので、それにすることにした。
レンズが来るまで約1週間かかるから、連絡先を書けと言うので
携帯の番号を書き、300ルピー払って帰った。


…そして今日あたり、そろそろ1週間経ったかなーと思い、帰り道そのメガネ屋に寄った。
コンタクト来た?と尋ねると、おっさんは引き出しから
日本で見るのと同じようなパッケージングの、1組のコンタクトを取り出した。
電話番号を聞いておきながら、届いたらどうして電話1本できないのか、
それはインド人のDNAの中に“怠慢”遺伝子がもれなくしっかりと組み込まれているからである。


おっさんは、パッケージを他のおっさんに手渡し、そのおっさんは
私のコンタクトを持って奥の方へ行ってしまった。
間もなくコンタクトの保存ケースを持って出てきた。
おっさんは、コンタクトレンズをパッケージから保存ケースに移し代えてくれたんであった。
私がこれまでに経験した“最も余計なお世話ベスト3”に堂々と入るくらいのレベルだ。


洗浄液は?と聞くと、うちで取り扱っているというので所望すると、
小さい容量のを出してくれた。
英語書きのパッケージの箱をいろんな角度から眺めても、
日本のと違って今ひとつ使い勝手がぴんと来ない。
ぼんやりしていると、おっさんが思い出したように引き出しから
別のパッケージを取り出し、これはタダだよ、と言うのでそれをもらうことにした。
箱に“サンプル<非売品>”と書かれていた。


というわけで明日からひさびさにコンタクト!