ナグプール〜ワルダー(3)

夕刻5時過ぎにナグプールを出た中距離バスは、
線路の踏み切りで上下線からそれぞれやってくる
2本の列車の通過待ちのため、10分程度止まったけど、
それ以外はすいすいとワルダーに向かって走った。
お決まりのエアコン無しの市バスのため、
走っている間は開け放った窓から勢い良く風が顔に当たるのだけども、
バスが止まるとその途端暑くなるんであった。


切符売りに「Gopuriで降りるから着いたら教えて。」とお願いしてあった。
Gopuriに着くと、切符売りは忘れずに後部座席に座っていた私のほうに向かって
Gopuriだよと大声で教えてくれた。


留学時代に大変お世話になった日本寺に、今回もお邪魔させてもらうことに
なっていた。お寺に着いたらちょうど19時だった。
お寺の方々と、お寺に来られていた顔見知りの何人かと1年振りに再会して
挨拶したり近況を伺ったりした。


夕飯を頂いた後、公園のようにきちんと手入れの行き届いたお寺の敷地内を
懐かしい気持ちで散歩した。昼間の熱気が抜け、気持ちのいい夜だった。
その後、ゲストルームに戻り、シャワーを浴びて床に就いた。2日目終了。


翌朝、5時起床。お寺なので朝のお勤めに参加した。
その後、清々しい朝のお寺周辺をぐるりと散歩した。
この辺りは地域の人々の散歩コースになっていて、
この朝も、道を歩いているとたくさんの人とすれ違った。
朝食を頂いた後、1年間留学していた学校に訪れた。
学長ご夫妻と、試験部門の顧問のご家族と、学生のお世話係の人やら、
学内に住む学校関係者の家族の人たちに久々に会い、挨拶をして回った。
みな元気そうな様子で、安心した。
その後、ワルダーのバザールエリアに赴き、ワルダー特産品の一つ、
手織りの綿布製のベッドカバーを1つ買った。


お昼に戻って昼食を頂いた後、少し休憩してから、日本寺の近くに住まわれている
ご家族のおうちを訪ね、長話をして夕方近くまで過ごした。
その後、お寺に戻り、夕方のお勤めに参加した後、お寺にお参りされていた方々と
またいろいろ話をして過ごした。
シャワーを浴びた後、夕飯を頂き、その後、外に夕涼みに出かけた。
驚くほど静かで、平和なところだった。
バンガロールなら、散歩をすれば必ず人に会う。
かといって人がいないところは治安が気になる。
22時就寝。


そして早くも最終日、
また朝5時起床、そしてお寺のお勤めに参加した後、
お寺近くにある、ギタイ・マンディールという名の公園に散歩に行った。
ここも散歩好きのインド人にぴったりの、
広くて手入れの行き届いた、とてもいい公園で、
私もワルダーにいた頃はよく来ていた。
朝来ると、静かに黙々とヨガをやっている人をたくさん見かける。
そこを1周して、お寺に戻った。


お寺で朝食を頂き、洗濯を終えてから、去年教わった先生の一人で
とても懇意にして下さった方のおうちを訪ねたが、あいにくのお留守だった。
その後、オーガニック製品を扱うお店で、
ナグプールの老紳士が肌のお手入れのためにいいよと薦めてくれていた
アーモンド・オイルがあったので、それを購入した。
また別の、ある乳製品の店で、ギー(ミルク由来のオイル)を購入した。
これも今回買って帰ろうと思っていた品の一つで、
スーパーで売っているギーと、この店で売っているような手作りのギーは、
香りが全く違う。
この手作りの純粋なギーを用いていると、
スーパーのギーは風味が劣っているので使いたくなくなる。
純粋なギーは、田舎なら乳製品の店に行けば手に入ると思うけど、
バンガロールでは私はそのような店を見かけたことがない。


その後、ワルダー郊外にあるセワグラムというところに行って、
マハトマ・ガンディー関連の資料館を訪れてから、帰途に着いた。
昨日お邪魔した、お寺近くにお住まいになっている方が、
今日昼食にいらっしゃいと招いて下さったので、約束の時間にまた出かけた。
このおうちでは、留学時代もさんざんお世話になった。
いつも品数豊富な食卓に目を輝かせて、あれもこれもとお腹いっぱい食べて、
その後、昼寝して帰ったりしていた。
この日も、美味しい味付けの数々のお料理をたっぷりとご馳走になり、
お礼を言ってお寺に戻った。


その後、荷物をまとめて、お寺から車で10分弱の場所にある
セワグラム駅という駅から、バンガロール方面行の列車に乗った。
15時14分発の列車が、それほど遅れることなく駅のプラットフォームに到着し、
首尾よく私を拾って、再び走り始めた。
帰りの列車は、行きと違ってエアコン付の車両を予約していた。
エアコン付の車両というのは窓が開かないようになっていて、
その上、日除け目的だろうか、窓ガラスに薄い黒のような
スモークフィルムが貼ってあった。
なので、外の景色がいまいちよく見えなくて、あまり気分が沸かないので、
帰りの列車ではうたた寝ばかりして過ごした。


たまに起き上がっては、広大なデカン高原にゴロゴロと佇む、
巨大な岩山を眺め、そして車内の様子を見回したりして、また横になって
居眠りを始めたりして過ごした。
それだけ居眠りをしたら、夜眠れなくなるんじゃないかと思う、
でも私に限ってそのようなことはなく、夜は夜でぐっすり眠れるんであった。
翌朝は6時くらいに目が覚めたと思う。
でも周りの人が起きていないようで、ライトも消されたままだったので、
またしばらく寝て、ようやくみなが起きた気配がした頃に、私も起きた。
バンガロールに着いたのが、10時くらいだったと思う。
オートは、行きが82、3ルピーだったのに対し、帰りは 120ルピーくらいした。
ちょっと遠回りしてしまったようだった。しかもメーターが回るのが
早かったような気がしなくもなかった。


見知らぬ土地を訪ねることにこの上ない喜びを感じるバックパッカー魂の
持ち主でありますが、懐かしい土地に赴くのもまた違った味わいがあるものだと
思いました。

(完)